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Q原子爆弾と原子力発電はどう違うのですか?
A核分裂の連鎖反応を急激に行わせるのが原子爆弾で、核分裂の連鎖反応を穏やかに行わせるよう調節したのが原子力発電所の原子炉です。原子爆弾では多量の放射線が放出されますが、原子力発電所では外部に放射線が漏れないようになっています。



原子力発電と原子爆弾の違い

 「核分裂」は、ウラン-235などに中性子をぶつけると原子核が分裂して中性子を放出する現象です。核分裂のときに出てくる中性子が別のウランにぶっつかって次々と反応が繰り返され核分裂の「連鎖反応」が起こります。核分裂がおこると非常に大きなエネルギーが放出されます。このエネルギーを利用するために、原子力発電所の原子炉では燃料中のウラン-235の割合が3~5%のものを使用し、うまく調節して核分裂の連鎖反応を緩やかに行わせるようにしています。また、外部に放射線が漏れないように細心の注意が払われています。一方、急激に核分裂の連鎖反応を起こさせ、一度に大量のエネルギーが放出されるようにしたのが原子爆弾です。

 この核分裂は、ウランなど核分裂を起こすことができる物質の量が少ないと、核分裂によってできた中性子が外部に飛び去ってしまい、連鎖反応は起こりません。連鎖反応を起こすためには一定量以上の量の濃縮したウラン-235、またはプルトニウム-239が必要です。この量を「臨界量」といいます。例えば、ウラン-235を利用した原爆(広島型)では原子爆弾を輸送するあいだは臨界量を超えないように、ウラン-235を爆弾の内部で2つに分散させてありました。爆発させるときには、火薬の力により急速に一カ所に集めて臨界量を超えさせて急激な連鎖反応が起こるようになっていました。

 一方、日本の玄海原子力発電所などの原子炉では、ウランの粉末を固く焼き固めたペレットを管に詰めた燃料棒を格子状に組み立てて燃料集合体を作って、臨界量付近にウラン-235の量を調節しています。また、制御棒を出し入れすることにより、中性子の量を調節して反応を制御しています。このことにより核分裂の連鎖反応が緩やかに行われます。
 東海村で臨界事故が起こりましたが、これは規則を無視したやり方で臨界量以上のウラン-235を一度に扱ったため起こった事故です。また、チェルノブイリで起こった原発事故は、原子炉が制御不能となって急激に核分裂の連鎖反応が起こった事故です。
 

参考資料:
「やさしい放射線とアイソトープ」
  日本アイソトープ協会
監修:
 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 原爆後障害医療研究施設 教授 奥村 寛
 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 林 邦昭
執筆:
 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 原爆後障害医療研究施設 助教授 岡市 協生
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