故 吉富健の母 吉富秀子
私はつと手をやすめて
耳をすます
あなたの元気な「只今」を
待つかのように
でもあなたはもう帰って来ない
私の胸の中に住むあなたは
少しも成長しない
何時までも、あの朝出て行った
あなたです
早いものあれから
九年経ちました
今では立派な青年になっているでしょうに
出典 『星は見ている 全滅した広島一中一年生・父母の手記集』(鱒書房 昭和二九年・一九五四年)一六六~一六七ページ
【原文中には、ジェンダー、職業、境遇、人種、民族、心身の状態などに関して、不適切な表現が使われていることがありますが、昭和二十九年(一九五四年)に書かれた貴重な資料であるため、時代背景を理解していただくという観点から、原文を尊重しそのまま掲載しています。】 |