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被爆体験について 
佐藤 泰子(さとう やすこ) 
性別 女性  被爆時年齢 17歳 
被爆地(被爆区分) 広島  執筆年 1995年 
被爆場所  
被爆時職業  
被爆時所属 挺身隊 
所蔵館 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館 

私は当時女子挺身隊員として、広島陸軍被服支廠に勤務していました。あの日の事を書こうと思えば胸が詰まり悲しさがこみ上げて参ります。然し私は勇気を出して、祈りを込めてここに記させて頂きます。

あれから五十年経った今も私の耳に焼き付いて離れない女学生の声が聞こえて来ます。

「死んでもいいから飲ませて下さい!一ト口ゴックリ飲ませて下さい!」

動員学徒にかり出され、全身焼けただれた山中高女一年生の少女の息絶えだえの中でのふりしぼる様な声です。

(死んでもいいから、一ト口ゴックリ)この言葉。どんなに水が飲みたかったか!思い出すたびに私の胸は張り裂ける様です。手を合わせ少女に詫びるのです。

俄か救護所となった被服廠のレンガ倉庫に犇く負傷者の方々の「水!水!水下さい!」と叫ぶ声がわんわんとレンガ倉庫に反響します。そんな中、「水を飲ませたら死ぬるぞ!飲ませたらいけん!」と見習士官のするどい声が厳しい目が光ります。飲ませてあげる事が出来ません。看護に当ったみんなも可哀想に可哀想にと云い乍ら、どうする事も出来ませんでした。どうして飲ませてあげなかったか、と今でも悔やまれてなりません。

私の生涯での大きな大きな悔です。悲しみです。

あの日の地獄絵図そのものの現実を思い起こす時、二度と戦争はあってはならない。原子爆弾、核兵器は絶体に廃絶せねばなりません。

私達被爆者は声を大にして全世界に叫ばなければなりません。これが生き残った被爆者の犠牲者へのせめてものつぐないだと思います。

水欲りし 少女に詫びる 原爆忌

 

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