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被爆体験について 
大坂 剛三(おおさか こうぞう) 
性別 男性  被爆時年齢 19歳 
被爆地(被爆区分) 広島(直接被爆)  執筆年 1995年 
被爆場所 船舶通信隊補充隊(暁第16710部隊)(広島市皆実町一丁目[現:広島市南区]) 
被爆時職業 軍人・軍属 
被爆時所属 大本営陸軍部船舶司令部教育船舶兵団船舶通信隊補充隊(暁第16710部隊) 
所蔵館 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館 
二〇才の徴兵検査が私達から一九才に繰上になったので一九才で補充隊として二〇年四月入隊。陸軍であれば三ケ月ですが船舶通信隊のため教育期間が六ヶ月でした。教育期間中に被爆したのであります。営門を通って一度も外出した事がありません。被爆するために徴兵されたやうなものです。

八月六日朝原爆が投下され兵舎は崩壊し兵舎内にいた私わやっとの思いで這うようにして外に出ました。外は爆風で一寸先が見いません。比治山に退避比治山に退避と人の叫び声を頼りに地べたを這って比治山まで逃げました。部隊の裏門が比治山でした。数時間過ぎたころ自分の両脚の皮膚がとれて赤身になっているのに気付きました。歩くことが出来ないので困ったなと思っていると私などわまだよいほうで行列をつくって兵隊さんたすけて兵隊さんたすけてと子供大人老人(男女)が集って来ました。比治山に行けば軍隊がいることを市民わ知っていたのでしょう。体中の皮膚がタダレ落ちてズボンのベルトの辺でグチャグチャになってたまっている人。顔が男か女かわからない人。お天気の良い日でしたので傷が日光に照らされ一層いたいたしく見いる。今わ公園になっている比治山が人の死の山となったのであります。六日~七日にかけて水を求めて(水をくれー水をくれー)死んでいったのです。今でも耳に残ってをります。生地獄わ私は思った事があり見た事わありませんがあれが生地獄だと私わ今でも忘れられません。

七日朝私は救護隊のトラックに乗せられて六キロ~七キロ爆心地より離れた国民学校の救護所につれてゆかれそこで終戦を迎いました。歩行困難のため七日~一五日までわ防空壕の中の生活でした。防空壕の中の生活わキユリのみそ汁と粥の生活で傷の手当は皮膚を剥いでわ赤チンを塗り皮膚の下が化膿するので又剥いでわ赤チンを塗る繰返しでした。終戦を知らされたその日から校舎内に移動しました。移動して又生地獄を見たのです。校舎内一杯に死に迫る被爆者が横たわっているのです。寝ている姿勢で閃光を浴びた方向がわかります。爆心地に対して向っていた人は顔と腹(前身)背を向けていた人わ背中(後身)左右側面も同じです。腹バイになって寝ている人。アオ向きになって寝ている人。その傷口や目や鼻からハイの幼虫(ウヂ)虫が出入している。それでも生きているのです。虫の泣くような小さい声で水をくれーウー水をくれといって死んで行くのです。校舎の裏の畑でわ荼毘に付す炎が赤赤と何時消いることもなく燃いています。

私わこんど広島の厳島に療養することになり出発しました。島での療養わ二二日間ほどでしたが帰りたくて帰りたくて毎日のように願い出ました。歩行がようやくできるようになり九月八日に召集解除になりました。見附駅にわ父(亡)がリヤカーを持って迎いに来てくれました。当時見附町にわ見附病院があり(今わ産婦人科だけ)外科に三~四ヶ月通院したのであります。

今でも季節の変り目にわケロイドがヒビ割れをするので指定医院のお医者さんから見てもらって軟膏をもらって治療をしてをります。体調の悪い時は傷口周辺に赤いポツポツの斑点が出来ます。戦後五〇年今でも悩みを持っております。

私の場合も兵舎の窓から入った閃光で肌が出ていた足だけ(左側)をやられたようです。外にいたら顔や手もやられたことでしょう。夏のことですから半袖半ズボンでした。朝でしたので朝の点呼の時間です。兵舎内の勤務でたすかりました。朝の点呼を外でやった中隊は全部やられた。私わ被爆体験を書いたことわ初めてです。今後もあまり書きたくないです。
  

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